板倉の家とは、伝統技術である板倉構法(落とし込み板壁構法)を、現代住宅に応用して建てられた木造住宅のことをいいます。
一般的な木造住宅は、木の柱・梁・筋交いで組み上げる方法(木造軸組構法)が用いられますが、板倉構法は、檜または杉の柱に溝を設け、そこに厚さ30mmの杉板を水平に落とし込み、壁や床としたものが基本構造です。
伝統技術である「板倉構法」を行うには、「専門的な技術者の確保」「都心部への建築」「施工にかかる工数の多さ(費用の高額化)」など、多くの問題がありました。
そこで、それらの問題を解決するために開発された技術が「パネル式板倉構法」です。パネル式板倉構法では、厚さ30mmの板壁に幅25mmのガルバリウム鋼板を打ち付けたものを1枚パネルにし、それをクレーンで柱の溝に落とし込みを行います。その結果、無垢の国産材で覆われた魅力的な空間が生まれます。
材料をあらかじめパネル化することで、現場での加工作業がなくなります。そこからは、工期短縮による工事費の削減、余分な材料の搬送費、残材の削減、安定した精度の高いパネルの提供など、実に多くの利点が生まれました。
パネル式板倉構法では、建て方(土台の据付から柱、梁、棟上げまで)が2日半から3日で完成します。この建て方が済んだ段階で、屋根・内壁・外壁が施工完了した状態となるため、一般的な木造住宅より短い工期で施工を進めることができます。また、建て方を晴れの日程で行うことで、材料にシートをかぶせたり、家屋の内側に使用する材が工事中に雨に濡れてしまったり、ということを避けられます。建築途中の早い段階で住まいを保護することができるのも、パネル式板倉構法の魅力のひとつです。